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板垣整骨院

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日本柔道整復・接骨医学会 第2回学術大会

日本柔道整復・接骨医学会 第2回学術大会 1993年(H.5)

枕子による尺骨肘頭骨折の固定法の1症例

<目的>
尺骨肘頭骨折は、肘を曲げて倒れ肘を直接強打し骨折する場合と、上腕三頭筋の強力な牽引により肘頭部を引きさかれる為に生ずる骨折とがある。
転位のある骨折は、長期間固定による関節拘縮と、整復障害因子があるために観血療法で行われていた。
そこで、整復障害因子を取り除く為に、肘関節を伸展位で掌側にシーネ固定することで、直接、枕子で骨折部を圧迫すると同時に、氷のうにて患部を冷却することができる為、筋肉の緊張緩和と腫脹軽減に即効性がある。
そして、骨折部が、早期に整復しやすい状況になり、整復後、枕子による持続圧迫をすることにより、整復の効果を最大限に発揮できる。

<方法>
対象は、63才女性、自宅前にて溝にはまり、肘関節を屈曲位で転倒し肘頭部を強打し負傷。
尺骨肘頭部の骨片の離開が15mm自発痛、圧痛、腫脹、血腫、動揺性、屈伸痛著明の方の施術をするにあたり、固定に必要な用具、ならびに固定方法、施術経過を説明すると、まず、シーネ、アルミ副子、枕子(硬いスポンジ)を用意する。
そのうち枕子の大きさはA.タテ6cm、ヨコ4cm、厚さ1cm、タテ方向に三角の溝をあける。
B.タテ6cm、ヨコ2.5cm、厚さ0.5cm、C.タテ6cm、ヨコ4cm、厚さ1cm、D.タテ6cm、ヨコ4.5cm、厚さ1.5cmとする。
次に掌側に肘関節屈曲15°で三角筋粗面の位置から中手指節間関節までシーネ固定をし、後面にアルミ副子で枕子Aを入れ、三角の溝を肘頭部にあて、抹消へ押しながら、骨折部を軽く圧迫し布テープで固定、冷湿布と包帯を施行。
提上肢とする。
施術経過については、初日から1週間は骨折部の整復をせず、先程の固定をし患部を冷却することで腫脹の軽減に努める。
そして少しづつ骨折部の広い離開を近づけるように毎日軽い圧迫を加える。
その後、冷湿布をし固定、腫脹の軽減と共に2ツ目の枕子Bを入れ二重にし、骨折部の離開を縮める。
1週間後、腫脹減少により、整復操作を行う。
左手で中枢骨片、右手で末梢骨片を把握し、合致するように圧迫し整復する。
整復位の位置にて、屈曲15°でシーネ固定、二重枕子による後方からの圧迫固定を施行。
10日後、腫脹軽減と共に、後方のアルミ副子の角度を少し曲げ、圧迫を強化すると骨折部が近づく。
2週間後、2ツ目の枕子を少し大きいCに替えることによって、ほぼ骨折面が合致する。
3週間後、腫脹減退し、2ツ目の枕子をもう少し大きいDに替え、後方のアルミ副子の角度を少し伸ばし、圧迫固定する。
正面、側面共正常位で安定。
4週間後、骨折部の仮骨形成やや良好。
浮腫も少しづつとれ、2ツ目の枕子を小さいCに替える。
5週間後、仮骨形成良好。
6週間後、骨折部の癒合をみる。
固定除去し、包帯固定を施行、温熱と軽擦による治療開始。
また自動運動も開始する。

<結果>
6週間で、骨折部は癒合したが、関節の拘縮、軟部組織の拘縮があり、その後、マッサージによる関節可動域の改善、筋肉の血行促進を行い、8週間後、自動伸展-10°自動屈曲70°
約3ヶ月後、自動伸展-7°自動屈曲100°
約4ヶ月後、自動伸展-5°自動屈曲140°
やや屈伸障害は残存するものの日常生活には支障がなく治癒した。

<考察>
1.副子の位置を掌側にすることにより患部の冷却が可能であった。
2.腫脹軽減と共に枕子で持続圧迫することで無理なく骨折部を近づけ、整復が可能であった。
3.整復は腫脹が軽減してから行うことで患者さんの痛みが最小限に押さえられた。
4.整復後、枕子による持続圧迫により整復位が安定した。

<結語>
私の行った施行をまとめると、尺骨肘頭骨折は、筋肉の過緊張や腫脹が大きい為に整復障害因子となります。
ゆえに、早期に患部を強度の冷却療法によって、腫脹を軽減させ、筋肉の緊張緩和の後、整復操作を行い枕子固定による持続圧迫療法を行うことにより好成績を得られました。
最後になりましたがX線写真撮影など色々ご指導頂きました田村クリニック院長田村伸介先生並びに固定法のご指導頂きました宮川接骨院院長山村徳三先生に深く感謝致します。

<参考文献>
1)原 勇  山口 裕司:図説整骨学
2)監訳 柏木 大治  広畑 和志  片岡 治:WATSON'JONES 骨・関節の外傷 第2巻
3)広畑 和志  寺山 和雄  井上 駿一:標準整形外科学 第2版